■薬師堂

教法寺と谷川神社の間を通る道をしばらく上に行くと右手に見えてくる割と目立つお堂がそうである。

古文書によると、このお堂の起源は、元和4(1618)年、京都の臨済宗妙心寺派の賢厳禅師がこの地に養生に来て、湯の効果があらたかであったので、その報恩のために一堂を建立したとある。

また、「薬師堂記」には、明治3年に金の湯が冷水に変わってしまったことがあったが、この薬師堂の薬師如来と観世音菩薩の宝前で17日間、大般若経600巻を読誦したところ、元のようにお湯が出るようになったとある。



ところで、薬師如来というのは、温泉地にはなじみが深い仏様である。

左手には、機関銃…、いや違った(滝汗)、薬つぼを持った姿で表現され、病に苦しむ衆生を救う現世利益の仏様である。

けだし、地中から湧き出る病を治す力のある不思議な温泉をこの仏様になぞらえたものであろう。


薬師如来の真言陀羅尼は、

オン コロコロ センダリ マトゥギ ソワカ
Om huru huru candali matangi svaha.

(オン 取り去りたまえ、取り去りたまえ、チャンダーリーよ、マータンギーよ、スヴァハー)」

また、観世音菩薩は、

オン アロリキャ ソワカ
Om arolik svaha.

(オン 蓮華部尊よ、スヴァハー)」