■湯治場としての湯平の歴史


そもそも湯平温泉の始まりはいつであろうか?

具体的にそれを示す史料は残っていないが、伝説によると、白毛の老猿が、湯浴みをしたり湯を飲んだりしているのを見た木こりにより発見されたという。

鎌倉時代中期の文応元(1260)年には、亀山天皇に仕えた北面の武士であった麻生摂津守藤原秀勝(あそう・せっつのかみ・ふじわらの・ひでかつ)が当時の不穏な世情を厭い、暇を貰って同族のいるこの湯平の地に来た。

そして、自身は農民となって、他の農民たちを教化し、温泉場を整備するなどしたという。

湯治場としての湯平の歴史はこの時期に始まったと言われている。


時代は下って、江戸時代には、この地の湯は名湯として天下に知られ、武士はもちろんのこと、多くの文人たちも訪れている。

こうした繁栄の時期に、湯治場としての道路の整備が行われた。


(続く)